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転職先はブラック企業第74話「詐称」

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前回の話はこちら 

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僕の転職活動は、性格診断という思いがけない伏兵によって窮地に立たされていた。

 

性格診断などで、ここまであたためた案件を棒に振るのか。納得できない。しかし、どうしようもない。

 

僕の計算ミスは、不毛な診断に向けられたフラストレーションに比例しておびただしい数になっていた。人事の決定権を持つ取締役には、弁解してもどうにもならない数字らしかった。

 

次長は黙って考え込み、ううん、とかう~ん、とか、ひたすらに唸っていた。女性の管理職もそれにならって口をつぐんだ。僕も何か言おうとしたが、言葉が出なかった。自分のシンプルなミスで二人の気分を害していることを悔いた。

 

どうにもならない事実と、どうにかしなければならないという焦り。それらが部屋の酸素濃度を奪い、僕らの冷静さと思考能力を削っている。

 

なんとかしましょう、仕方がない。

 

次長は吐き出すように言った。僕ははっと彼の顔を見た。試験用紙をカバンから取り出すと、僕に差し出してくる。

 

これって、今ちょうど解いたものと同じ……

 

そう。そのとおり。これを家でもう一度解いて、ウチの会社に送ってほしい。

 

なんということだ。点数の詐称をやるということらしい。

 

うちの取締役は鋭いからね。だから、私達がマルを付けなおしたりすると、その筆跡などから「察して」しまうかもしれないんだよ。だから、うまいことやろう。君を入れない手はないんだから。

 

こうして、僕は自宅に帰ってから「全て答えを知っている計算問題」と「全てアタリの回答を知っている性格診断」を、98点くらいの点数が出るように最新の注意を払って解き直した。

 

これはこれで非常に不毛な作業であった。が、不毛な作業を強いる企業を変革するには不毛な作業が必要であるという、なんとも皮肉のこもった事実を知り、納得もできた。

 

後日、郵送で試験を送付後、間もなく「合格」の連絡が来た(当然)。

 

ついに僕は最終面接ということで、宮崎の地に向かうこととなった。