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転職先はブラック企業第71話「敗北」

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前回の話はこちら 

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情報保護規約

マネージャーの機械的な手続きは続く。

 

手渡されるのはハローワークの資料。それからよくわからない文書を何枚か。

 

お互いの意欲を限界まで削ぎ落としたような、無味乾燥な手続きが30分ほど続いていく。

 

最後に、「情報保護規約」と書かれた紙が渡された。

 

情報保護。僕は紙に顔を近づけ、文字の羅列を凝視した。

 

書類には、

会社の誹謗中傷について、ネット上に書き込まない

法律関係事務所に訴えない

などとあった。

 

会社にとって都合の悪い情報を隠し、その漏洩を守るための規約。それがA4の両面にびっしりと記載されていた。

 

ここまで労働者をこきつかっておいて、都合の悪い情報は漏らさないように念を押してくる会社。

 

僕は急に腹が立ってきた。

 

全てを会社の都合の良い話でうまくまとめていきたい、というような、自分勝手な論理がある。それに僕は絡め取られ、うまいように扱われている。

 

屈辱だ。この憎むべき事実が僕の脳内を支配して、僕の思考は停止した。

 

残業代、今まで支払われていませんよね。 

 

僕は咄嗟に言った。

 

36協定を結んでいるので残業代は問題ないはずですよ 。もしもそちらが法的手段を使ってくるのなら、こちらも容赦はしませんけどね。

 

と、突き放すように言ってきた。

 

僕は突然怖くなり、

 

検討します 

 

と一言だけ言った。それしか返せなかった。

 

マネージャーの目は泳いでいるようにも見えた。でも、僕は36協定なんて何かわからず、どう対抗すれば良いかもわからなかった。

 

敗北

僕は何もできず、私物の入った重い重い紙袋を抱えて家に帰った。

 

勝てるかどうかもわからない、証拠も揃いそうな戦いに、僕は挑むべきなのか。

 

そう思うと、裁判をやろうと意気込んでいた気持ちも萎えてしまった。

 

弁護士の長澤先生にもなんと言っていいかわからず、相談の予約も取れなかった。

 

打つ手がない。

 

僕はブラック企業に負けたのだ。

 

 

 思わぬスカウトメール

失意の僕は、悩んだ末、ビズリーチという転職サービスを開いた。

 

とりあえず転職サイトでも見て、前に進んでいる気分になろうと思ったのだ。

 

ビズリーチの特徴は、企業からのスカウトが来るという点で、今では主流になった企業からのスカウト機能をいち早く本格始動させたサービスだった。

 

そのメールボックスの中に、一通のスカウトを見つけた。

 

募集職種は人事係長候補。勤務地は、なんと宮崎県。

 

文面には、

 

是非お話したいので、電話で15分時間を頂戴できないでしょうか。

 

との文字。

 

これを見た僕の心は躍った。学生時代の友人も宮崎に移住して楽しそうにしている。

 

わけのわからないブラック企業に所属したことで、職歴に傷をつけることになってしまった自分。

 

自分が人事となり、自分のような人間を、少しでもなくしていけたら。

 

そう思い、僕はスカウトメールに返信した。