もちもち動物園

転職・教育・移住のコツをストーリー仕立てでわかりやすく解説

転職先はブラック企業第70話「弁護士先生ごめんなさい」

スポンサー広告

前回の話はこちら 

www.mochizoo.xyz

f:id:nojisho:20180328183712p:plain

 

 

証拠が揃わないことには裁判は戦えない

 

弁護士のもとには何度か通った。しかし、メールも、出退勤記録もなく、僕の武器に成る情報はほぼなかった。

 

最初は柔和に対応してくれた弁護士先生も、段々と顔が曇ってくる。

 

「しょうきちさん……もう少し頑張って証拠を探してください」

 

先生はため息を吐き出すように言った。しかし、僕はどうすればよいのだろう。アカウントをロックされ、ログが取れない僕にとって、証拠を探すことは困難だった。

 

いや、困難というより、苦痛だった。

 

辛いのだ。この作業が。終わりのない消耗戦だ。

 

弁護士先生へのプレッシャーと、見つからない証拠に挟まれているこの状況から、僕は逃げたかった。

 

ブラック企業からのメール、そして退職届

そんなある日、ブラック企業からメールがあった。

 

手続きの関係で、一度出社していただけませんか?難しいようでしたらカフェでも構いません。

 

最近入社した、メガバンク出身のマネージャーからの連絡だった。

 

思えば、僕は病気を理由に休職をしたまま。退職の手続きはまだとっていなかった。

 

こんな会社に居続けるつもりはなかったので、僕は「承知しました。カフェでお願いします」と短く返信した。

 

カフェに出向くと、マネージャーは大きな紙袋を手にしていた。

 

紙袋には僕の使っていた寝袋、マグカップ、シャンプー等と、会社に泊まり込むためのグッズが入っていた。手に取ると、ずっしりと重い。

これが僕の戦っていた印なのだ、と思った。

 

キーの印字がかすれたダイナブック、交互にたまっていレッドブルとモンスターエナジーの空き缶。枕代わりにも使った資料ケース……

 

めちゃくちゃな戦いの日々が、もうすぐ終わるのだ。

 

マネージャーはテーブルの上に退職届を広げ、こちらにペンを渡してきた。

 

力の入らない指で、なぞるようにサインをする。

 

はい、どうも 

 

マネージャーはお釣りの小銭でも受け取るように退職届をしまいこんだ。