もちもち動物園

楽しい働き方研究ブログ。第二新卒転職→ブラック企業勤務→宮崎移住。

転職先はブラック企業第63話「大矛盾」

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新宿を中野方面に歩いてたどり着いたのは、ドラッグストアや小型スーパーなどが入った三階建の複合施設だった。新宿ハートクリニック。僕が探した心療内科はこの中にあった。

 

僕は誰にも見られないようにパーカーを着て、いつもはかけない伊達メガネをして中に入った。

 

白い清潔なエントランスに、アロマオイルのような香りが漂っている。受付は広く、看護師さんが笑顔で出迎えてくれる。

 

訪問者の心を癒やす様々な工夫が、僕には圧迫してくる悪意のように感じられた。待合室には何人かの患者がうつむきながら何かをしている。なるべく彼らを見ないように、僕は受付を済ませた。

 

僕は、自分が会社をやめる理由として精神疾患を求めていた。ハードワークにやられて心を病んだ。それなら辞めても仕方ない。いきさつを話すとき、そう思ってほしい。

 

しかし、診察を前にして、本当に自分が精神疾患を患っていたらどうしよう、という恐怖が襲ってきた。病名をラベルとして貼り付けられたとき、僕には会社に負けたという烙印がおされる。他のみんなは耐えられるから一流で、耐えられなかった僕は二流以下なのだ。

 

そのとき、僕は会社から逃げるために精神疾患の名前を求めていながら、自分を精神疾患患者と認めたくないという、極めて都合の良い矛盾した思考に板挟みになっていたことに気づいた。

 

そして、会社を逃げるために病気を使いたいという卑怯な自分に恐怖し、さらに医師が病名を僕に宣告する瞬間を想像して恐怖した。

 

診察前のアンケートに手汗が滲んでいる。僕は自分の行動が信じられなくなった。意図せずに、卑屈で自己中心的な選択を取ってしまった自分がただひたすらに嫌だった。