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転職先はブラック企業第47話「冷戦」

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3ヶ月半の納期を2ヶ月に縮められた日の翌日、僕は日付の変わるギリギリでデザインの初稿を提出した。

 

他の案件もモリモリ入っている中、デザイナーを渾身のハーゲンダッツで買収し、9時まで残業してもらっての提出だ。僕は電子メールに魂を込めた。この魂が光ファイバーケーブルを通じて中谷のパソコンをあたたかい緑の光で包み込み、地球に衝突しようとする隕石すら不思議な力で跳ね返されるような奇跡=納期延長が発動されることを切望した。

 

中谷はあれほど急がせたにも関わらず、翌日の夕方6時にメールを返してきた。

 

「いいと思います。先方に提出します」

 

こんな返事なら朝イチで返せよと思う。そしてさらに3日後、ようやく中谷からのメール。

 

「先方からOKが出ました、これでコーディングしてください」

 

待ちくたびれた僕が化石になるかどうかの瀬戸際で、デザインのGOサインが出た。

 

返信のメールにて、承知いたしました、の後に「今回ご指示をいただくまでに72時間のロスタイムが発生しましたので、目標の30時間以内の納品は不可能になってしまいましたことをご了承下さい」と打ち込もうとしたが、送る直前でやめておいた。

 

他の案件をこなしつつ、レクサス4案件を進めていく。が、そこでどうも気になることがある。中谷のチェックが遅いのである。

 

頭脳警察社で中谷がチェックをするのに1日半、クライアントがチェックをするのに3日ほどかかっている。このペースではチェックだけで20日以上のタイムロスだ。馬鹿げている。これではこちらが急いでいる意味がない。こんな理由で納期遅延になってドヤされるのは耐えられないのだ。

 

「いつもチェックありがとうございます。お忙しい中誠に恐縮ですが、納期達成のため、チェックの時間を早めていただくことは可能でしょうか。1時間以内とは申しませんので、1営業日以内でチェック頂けると大変助かります。また、クライアント様へも、チェックの優先度を高めて頂けるよう、お話しいただけましたら幸いです」

 

黙っているのも忍びないので、やんわりとメールを送る。

 

これで「わかりました!」と爽やかなメールをくれるものならこちらもすんなりと案件を進められるものだが、そうはいかない。

 

「承知しました。しかし、クライアント様に指図するというのはいただけませんね。御社の制作物を経営陣で精査して頂いているので、そこにもっと早くしろ等とケチを付けるわけにはいきません」

 

と、中谷。僕は顎をさすりながらため息をつく。別にいちゃもんをつけようとかケチをつけようとかそういう気持ちは毛頭なく、単純に、物理的に時間が足りないのだ。そしてその原因は緩慢なチェック体制なのだ。それがなぜわからない。

 

「メシいってきまーす」

 

気分転換に早めのメシ。セブンのカップラーメンを買う。蒙古タンメン中本。このコク、この麺、この辛さ。カップラーメンの中で一番納得できる商品だ。……すると、社長からの電話。素早く携帯を取る。

 

「お前、今どこなの?」

 

「はい、コンビニです」

 

「レクサスなんちゃらって会社から電話かかってきてるんだけど」

 

「すみません、すぐ行きます!折り返しで伝えておいてください!」

 

レジに並んでいたら社長の拳がとぶので、中本を置いて社内にもどる。エレベーター待ちの時間が惜しい。扉が開いた瞬間に素早く乗り込み、しまるボタンをプッシュアンドゴーイングアップ。チン、の音と同時にオフィスへ駆け戻る。

 

「すみません、お待たせしました」

 

社長室にかけこむと、社長は相変わらずジャンプを読んでいた。

 

「しょうきち、何かお客さんめちゃ怒ってたみたいだけど、何なの?」

 

「へ?レクサス・マーケティングがですか?」

 

「そうだけど。なんか揉めた?」

 

「いえ……揉め事はしていません」

 

「ったく、面倒なことすんなよ」

 

「すみません」

 

「あとさ、コンビニ行くならワンピースの新刊買ってこいよ。気が利かねえな」

 

「す、すみません」

 

僕は手のひらに「ワンピ 新刊」とメモしてから、レクサス・マーケティングに電話した。チャンが出たが、いつものグーグル翻訳に忠実な日本語が、感情的になったことで破壊的にわかりづらくなっていた。

 

さて、もしかしたらお察しの方もいるかもしれないが、レクサス・マーケティングが怒っていたのは、中谷の告げ口が原因であった。僕がレクサスのチェックが遅いと批判していたと、中谷に吹き込まれたらしい。

 

「いえ、そんなことは。違うんです、誤解です」

 

僕の必死の30分の釈明に、チャンも何とか平常心を取り戻してくれた。

 

「わかりました。御社がそんなことないと誓うなら、理解します」

 

「ありがとうございます。私が申し上げたのは、現状3日かかっているチェックが少しでも早くなればありがたいな、と言ったまででして」

 

「3日?私たちは即日でチェックしていますはずです」

 

「そうですか……いつも私どもに連絡がくるのは3日ほど経ってからなんですよね……」

 

言いかけて、僕は気づいてしまった。

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