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もちもち動物園

楽しい働き方研究ブログ。第二新卒転職→ブラック企業勤務→宮崎移住。

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転職先はブラック企業第17話「ブラック企業のIPO」

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宴会終了後、メンズサウナへ

僕らの地獄の宴会は無事、ホテルから出禁を食らう形で終了した。ローションや生クリーム等で床をベトベトにして汚した罰である。

 

ゴミあさりでもしたかのように汚れている僕らは、そのまま歌舞伎町のメンズサウナへと向かった。ビルに入ると、挨拶をしようとした中国人の店主が顔をしかめる。店主はホームレスでも見るかのような汚い目線で、一人1200円の料金をむしり取っていく。

 

「ようやく終わったね~」

 

マゾ彦が気の抜けたようなしゃべりで話しかけてくる。ああ、その通りだ。やっと終わった。この1ヶ月ほど、宴会の準備とクレーム対応でろくに眠れていない。ようやく、一息つけそうなのだ。

 

「ああ、そうだね。ようやく終わった」

 

クリームの油でベトベトになった体をあたたかなシャワーで洗い流すのは心地よかった。ほんの短い時間だが、会社から、仕事から、解放される気分になる。これなら1200円も安いものだった。1日の中で、風呂に入れる時間が一番心地よい。

 

ブラック企業とIPO

湯船に入ると、マゾ彦が話しかけてくる。

 

「株の話さ~、どう思う?」

 

「株?」

 

「聞いてなかったの?株式公開の話だよ~」

 

「IPOか。宴会の前にしてたよな、そんな話」

 

「うちのクライアントのガッツ・コーポレーション社の取締役の中島さんっていると思うんだけどさ~、あの人、IPOで億単位で儲けたらしいよ~」

 

「何だって」

 

ガッツ・コーポレーションといえば、やり手の人材系企業出身の社長が起こした急成長ベンチャーだ。創業から10年足らずでマザーズ上場、一部上場と株式市場の階段を三段飛ばしで駆け上がっていった。中島は創業当時から社長を手伝い、人事絡みで次々と成果をあげていた結果、30代半ばで取締役に抜擢された経歴を持つ。

 

創業当時の生活はそれこそブラック企業のそれであったが、今ではIPOで儲けに儲けた上場企業の取締役だ。キャッシュもあれば、ポジションもある。ブラック企業の生む億万長者。

 

「乗ったもんだね、ビッグウェーブにさ」

 

「僕なら10分の一でももらえたら嬉しいよ~」

 

「1000万か。1000万、か……」

 

ブラック企業社員はIPO株の夢を見るか

1000枚の束になると、1万円札にはどんな厚みがあるのだろうか。そして、それを生み出すIPO。僕らがこのブラック企業で頑張りぬくための、希望の光。

 

社長もうまいものだと思う。長時間労働で消耗する僕らに、ちゃんと餌をまいてくれる。IPOで儲ければ、今までの払われてこなかった残業代なんて目じゃない。お釣りがくるほどに金が入るのだ。

 

「決めた。俺は、できるだけIPOにぶっこむ。10万だ。毎月10万を社内持ち株で払い続けて、目一杯リターンをもらう。せっかくこの会社にいるんだ。チャンスは逃したくない」

 

「は、10万?毎月払うんだよ~?」

 

「それくらいしないとこの会社にいる意味はない。絞られた分、全部取り返してやるんだ。IPOまで頑張り抜いて。マゾ彦、これは賭けだよ。こんなブラック企業で働いていて、何もリターンがないなんて嫌だ。最後に儲けて、ブラック企業に勤めたことを正解にするんだ」

 

砂漠の旅でオアシスの情報を聞きつけた冒険家のように、僕は生気を燃やしていた。金を勝ち取ってやる。それまで頑張り抜くんだ、このブラック企業で。

 

僕らはサウナに入って、めちゃくちゃに汗を流してからビルを出た。IPOのことだけ考えていたら、熱気の中でも永遠に我慢できるような気がした。麻薬でもやっているかのようだ。実際、僕は20分間サウナに耐え続け、その間にマゾ彦はサウナに入るのと水風呂に入るのを2往復した。

 

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投稿強化中:ブラック企業の無茶振りに疲れたら

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