もちもち動物園

楽しい働き方研究ブログ。第二新卒転職→ブラック企業勤務→宮崎移住。

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転職先はブラック企業第15話「これが俺たちの真の姿だ!」

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決算総会まであと1週間を切った。

僕らの漫才は、完全に迷走していた。


先日完成した「異国語(パンジャブ語)をしゃべる相方を完全無視しながら進める漫才」をリハーサルで社員に見せた結果、「カタツムリが這っているのをただ見ているのと同じくらい苦痛」「面白いという言葉の定義を教えてほしい」などと非常に辛辣な言葉を頂戴してしまったため、全ては白紙に戻っていた。


「こうなるのって、もう最初からわかってたんじゃね~の~?」


「うるせえ!」


マゾ彦のマイペースな正論をたたき返しながら、僕らは再度構成を練らねばならなくなった。何度もいうが、仕事の終わった深夜3時からはじめるのだ。辛すぎる。
何せ、クライアントの説明資料を大量に作成しなければならないのだ。

 

 クライアントへの説明資料が必要になった経緯は第14話をごらんいただきたい。

 

nojisho.hatenablog.com

 


時間がないので、僕らは会議室にこもると、とりあえずYoutubeを見て、面白いところをパクっていくことにした。


20分ほどお笑い動画を真顔で見ていたときのことである。チンチクリンの巨大デブが女装をして現れた。動画内の会場はそれだけでどよめき、爆笑の渦が巻き起こっていた。

 


響 『ミツコと先輩』


それは、響の長友であった。

 

その光景を見た瞬間、僕の脳裏に出てきた言葉は「勝利」の2文字である。圧倒的な奇抜さで相手の言葉を、思考を、主導権を奪い、こちらのペースに持っていく……!すなわち「出落ち」……!究極の逃げ切り芸……!最初よければすべて良し……!

 

※ちなみに観客の思考を奪って笑いの主導権を握るというのはパンジャブ語漫才でも実施しようとした方法なのであるが、脳がバグっている自分にはもはや省みる余裕など微塵もなかった。


僕らの出演時間はせいぜい5分~10分である。その時間だけ逃げ切れるだけのインパクトを与えれば良いのだ。もはや僕らのセンスは内容で勝負できない。出落ちだ。出落ちで逃げ切ろう。


「これだよ、マゾ彦」


「もう何でもいいよ~」


とりあえず歌舞伎町のドンキホーテに向かった。

 

くたびれた街、くたびれた自分


明け方近くの歌舞伎町なわけだから、ゴミ、カラス、よっぱらい、ホームレス、キャッチ。これが大体同じくらいの割合で視界に入ってくる。不健康・不健全の街。それが新宿だ。薄明るくてほこりっぽい街を僕らは歩いた。


「マゾ彦は最近どう?」


「ん~とね~」

 

マゾ彦は10秒ほど唸ってから、「駄目だね~」と答えた。

 

「俺ね~、この会社に入ってから、仕事がちゃんと終わったこと1度もない」

 

「知ってる。というか、終わってるやついないと思う」

 

「大体やろうとしていることを次の瞬間忘れてて、後で思い出したときにはもう遅くてね~」

 

「忙しすぎて頭バグってる?」

 

「そうかもしれないね~」

 

「うちの上司と同じだな。タスクが多すぎて、どんどんタスク忘れていくんだけど、後でこれ忘れてませんか?って聞くとうおおおおって吼えながらやり始める」

 

「それよく見るね~」

 

「その5秒後くらいに疲れすぎて寝てるときとかあるからね。みんないっぱいいっぱいだよ」

 

「そうか~」

 

「ところで、しょうきちくんは?この仕事ずっとやるの~?」

 

「えっ」

 

突然のことで驚いた。僕は、この仕事を、続けるのだろうか。続けるべきなのだろうか。

 

「ずっとは無理だと思う」

 

「だよね~」

 

深夜に新宿の夜をみつめながら、何のために働いているのかを自問自答する。そんな毎日を続けてはいた。しかし、答えはでなかった。成長か?確かに成長をしている実感はあって、それは貴重なことだ。でも、なんか違う。

 

別にホームページのディレクターになりたいわけではない。感謝されるのはうれしいけど、この仕事自体にモチベーションはあまり感じていない。じゃあお金?確かに仕事しかしていないのでお金は貯まる一方だが、もしお金を貯めるのを目的化するのであれば別の仕事があるはずだ。それじゃあ何だ。何なんだ……

 

ガード下を通ると、自然とホームレスの隣を通りながら進むことになる。「僕も仕事がなくなったらこうなるのだろうか……」と考える。いや、待てよ。自分は既に会社をやめている。新卒の会社を11ヶ月でだ。そんな人間が今また仕事を失えば、再就職は可能なのだろうか。いや、無理だろう。

 

そうだ。仕事は「なぜやりたいのか」ではない。そもそも「やめてはならない」のだ。僕にとっては。やめたら最後。転落の日々が待っているのだ。第二新卒の転職を2回も繰り返すなんて、次はきっと採ってもらえないぞ……

 

「ほら、しょうきちく~ん、行くよ~」

 

歩みが遅くなった僕を催促するようにマゾ彦が僕を呼んだ。

 

ブラック企業社員、ドンキホーテにて覚醒


ドンキホーテに入ると、流行にかなってはいるものの、質の悪いコスプレ衣装が大量に並んでいた。バニーガール、メイド服……


「もともと自衛隊だったから、これやろ~」

 

マゾ彦は自衛官の征服に似た迷彩柄の戦闘服を見つけた。ふと見ると、隣には迷彩柄のスカートつき女性用戦闘服もある。

 

「しょうきち、これきてみてや~」

 

「嘘だと言ってくれ」

 

「しゃあないやろ~」

 

もはや抵抗する意思もなく、5000円ほどする女性用戦闘服を買う僕。しかし、これを着ただけではただの女装ということに気づく。

 

「もっと変なのにしようよ。響の長友くらい出落ちしようよ」

 

「いいねえ~~」

 

結果、中学生の悪乗り感覚で買い足したのは以下のアイテムである。


  1. 網タイツ
    キティちゃんサンダル
    電マ
    「日本万歳」のハチマキ
    ハエたたき

 

これらをすべて「僕が」装着することになった。女性用戦闘服と一緒にである。

 

マゾ彦はというと、普通に男性用の戦闘服を着て、自前(=つまり本物)の自衛官帽、模型のアサルトライフルを持つ。

 

オフィスに帰り、戦闘服も含め、これをすべて試着した瞬間、

 

「これは……やばい……!!」

 

「完全に出落ちだけど、主導権もっていけるね~~!!」

 

お互い鏡に映った自分たちを見た。これはやばい。選んだ僕らでさえ、その衝撃力に卒倒するほどだった。マゾ彦は元自衛隊ということもあり、それなりに決まっている。帽子も制服も着こなしているし、アサルトライフルも心なしか持ち方がかっこいい。

 

しかしながら、僕はというと女性用のくびれた制服を身にまとい、スカートから伸びた脚には網タイツ。なぜかキティちゃんの健康サンダルも装着しており、「イメクラ嬢が仕事着のままデートに行こうとしたけどどうしても時間がなくなり、あせった結果間違えてサンダルを履いてしまった」みたいなありそうで絶対にないシチュエーションを再現してしまっている。その上、手に持っているハエたたきと電マで威嚇してくるし、頭に巻いているハチマキの「日本万歳」が異常な情熱をうったえてくる。傍から見ると、何に命を賭して国家に万歳しているのか全くわからない。

 

ナメクジ以下でおなじみ、デフレスパイラルに陥った自分の脆弱な知能を駆使した結果がこれである。

 

「これはやばいね~」

 

「こんなやつ絶対に近づきたくない」

 

僕らは鏡を見ながらそういった。もちろん僕が近づきたくないといったのは自分を指してである。ちなみにこの格好で少し微笑むと完全に変態だ。

 

満足した僕らは、簡単に漫才の方向性だけ決めて寝る事にした。マゾ彦は自衛隊の指導教官、僕は訓練中にハードワークに耐えられずに狂乱してしまったサイコパスということに。さあ、よし、寝よう。まだクライアントに向けての資料もつくっていないんだ。

 

さて、僕らが眠りについたのは朝6時半のことだった。また、僕が購入したものは自分のデスクの上に置き忘れて会議室で寝てしまったのだが、その中に混じっている電マが女子社員に見つかり、騒動を巻き起こすとは想像もしていなかった。僕はクライアントのクレームと戦いながら、社内で「これは卑近な目的で購入したのではない」と弁明するはめになった。


ブラック企業の決算総会、ついに本番当日

 

さて、決算総会当日。

都内某所のホテルにて、宴会の最終準備が行われていた。精鋭の営業担当がホテルとの打ち合わせとパワーポイント作成を交互に繰り返している。もはや職人の域だ。

 

その日は業務を早々と15時に切り上げ、都庁付近のホテルに向かった。ホテルの宴会場を貸しきって行われるのだ。

 

デザイナーののびたやギャル社員たちは社内に残って案件を処理してくれている。みんなが頑張ってくれている中、僕らはひたすらに変態だった。自衛官の格好をビシっと決めたマゾ彦。そして、自分はというと、

女性用のくびれた制服を身にまとい、スカートから伸びた脚には網タイツ。なぜかキティちゃんの健康サンダルも装着しており、「イメクラ嬢が仕事着のままデートに行こうとしたけどどうしても時間がなくなり、あせった結果間違えてサンダルを履いてしまった」みたいなありそうで絶対にないシチュエーションを再現してしまっている。

 こんな感じ。ちなみに手には電マ。これで道を歩けば一発逮捕のスーパーアウトロースタイル。これなら会場全体は僕に釘付けだぜ。

 

総会は2部構成で実施され、前半は経営状況の説明、後半は僕らがワイワイやる(やらされる)宴会という形になっている。

 

前半の経営成績の発表のほうは、「ほぼ全部署200%成長」というよくわからない数値が発表されてシンプルに終わった。まあ、あれだけ働いていたらそうなるだろうなあ……と。

 

そして社長からは2点、連絡があった。

 

  1. 上場を見越して社員持ち株会が発足されるということ
  2. 従業員の職場環境改善のためのルールを施行するということ

 

両方ともすばらしいニュースだった。光が見えた。何せ、持ち株会を買っておけば、上場と同時に莫大な利益が入る。仮に20倍の値段だとしたら、たった100万買っておいただけでも2000万である。この会社で働く希望が見えた気がした。

 

ところが、職場環境改善のルールについてはこんなものだった。

 

 

nojisho.hatenablog.com

 

 

理不尽すぎる内容だったから、僕はまた落胆した。

 


社長のありがたい話が一通り終わった後、僕らは別の宴会場に移動した。

 

僕は出演者であったため、裏方でほかの出演者と一緒に着替えていた。

 

帰り道に歩きながら歯を磨く「さんま」はアナと雪の女王のコスプレをしており、なんだかクーラーボックスに重そうなものを入れていた。たぶん雪の演出をするためのドライアイスだろう。新卒の女の子は妖怪ウォッチのコスプレをしており、体操を踊るみたいだ。

 

出演者はそれぞれテーマがあったが、僕らは激しく浮いていた。何度も「しょうきちさん、変態ですね」といわれた。そのたびに「ありがとうございます」と返していたら、マゾ彦からは「だんだんナチュラルな笑顔が出てきて本物の変態ぽくなってきたね~」とお褒めの言葉を預かるまでになった。僕は復讐と称し、手に持った電マを彼の急所に押し当てながらケツをハエたたきで何度も叩いたのだが、後々思い返すとその行為こそ変態のそれだと気づき、深く反省した。

 

「さて、そろそろ時間になってまいりました!わが社がほこるエンターテイナーがス

テージで暴れまわります!」

 

アナウンスが流れた。さあ、時間だ。マゾ彦は拳を握り締め、僕は電マを握り締めた。

 

投稿強化中:ブラック企業の無茶振りに疲れたら

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